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ある農家とのぶどう談議

ホームページ見ました
茨城の・・・と申します。
我が家も、巨峰を栽培しています。ホームページに、ぶどうに関する情報が書いて
あり、よく勉強されているのに感心させられました。いろいろなぶどう農家のホーム
ページを見ていますが、あまり詳しい記述を見た事がありません。
さて、ホームページ上に「今まで当園ではジベレリンや巨峰生産に用いられるフラ
スターと言った植物成長ホルモンの使用を行なってきませんでした、しかし最近の消
費者の種無しぶどうの需要の増大や粒の大きな物を好む傾向に、経済的理由から取り
組まざるをえない状況になってきています。」とありましたが、長野でも、そのよう
な状況なんですね。
我が家でも、ジベレリンやフラスターは、使用していません。どうしても、味が落
ちるので、両親とも使う事に反対です。実際に、市場に流通する品物に関しては、実
績があるので、何とかなっています(不景気で、毎年価格が下がってますが)。しか
し、小売の場合には、一回り小ぶりで房の整っていないものは、受けが悪いです。

昨年、あるそばやさんから、サンプルを頼まれたので送ったのですが、電話で
「やっぱり巨峰は、大きくなくちゃね」と言われてしまいました。
味を大事にして作っても、消費者が、それを評価してくれない事には、閉口してし
まいますね。
我が家のホームページは、
h ttp://page.freett.com/grape/ で す。
 

 

RE: ホームページ見ました
メールありがとうございました。ホームページも拝見させていただきました。 お百姓さ
んRING の仲間に入れてもらおうかと考えてます。話は栽培の事に変わりますが、長野県
ではフラスターを使う事によって、粒の詰まったにぎり房と言う軸の見えにくい房作りを
して、小売店で軸の枯れたのが見えにくくする事で、市場性を確保するようにしています。
フラスターを使用しないとどうしてもやや長めの房になりやすく、粒の肥大にも影響を与
えているようです。ジベレリンについては長野県では巨峰については原則不使用、単位結
果などの特別な事情が生じなければ使用は進めていません。ただ、消費者はどうしても種
無しの大きい物がいいように思えるらしく、ピオーネのジベ処理したものの栽培を推奨し
ています。巨峰栽培に関してはかなり厳しい状況ですが、お互い頑張りましょう。
ウッドベルファーム 鈴木三千夫

 


お返事ありがとうございます。
ところで、自分の所で使ってないので、よく知らないんですが、フラスターを使う
とどんな効果があるんでしょうか?ジベレリンとどう違うんでしょうか?
ジベレリンについては、ホームページ上でふれていますが、フラスターは、書いて
ないんです。差別化の意味もあるので、ぜひ、お教え下さい。

 


フラスターについて、フラスターも植物成長ホルモンの一種で、展葉8枚くらいの開花前一時的に新鞘伸張を抑
制して、実止まりの確保を図る薬剤です。昔はBナインと言う薬剤が使用されていました
が、発ガン性が指摘され、それに代わる薬剤として使用されるようになりました。肥大に
影響するのは、やや強めの剪定をしておいて、普通ならば花ぶるい(結実不良により実が
小さくなったり、実が付かなくなってしまう事)を起こす所をこの薬剤で、栄養成長を抑
制し、結実を図ります。結実確保をした後、この薬剤は2週間程度で効果がなくなるので、
粒の肥大にその後の樹盛が反映され肥大を助ける事になります。私の農園ではこれを使わ
ないため、剪定を弱くする事により結実確保を図るため、後半の粒肥大が少々劣る結果と
なります。ネット上でフラスターを検索すれば、日本槽達のページに薬剤が紹介されてい
ます。話は変わりますが、書いているうちに、このやり取りを消費者に紹介したくなって
きました、よろしければ、掲示板に何らかの形で、内容を掲示したいのですが、よろしい
でしょうか?農園の名前等は挙げた方が良いか、伏せておいたほうが良いか、できればお
知らせください。
ウッドベルファーム 鈴木

 


RE: フラスターについて
・・・です。
ご丁寧に、ありがとうございました。このやり取りは、使って頂いて、結構です
よ。名前も、問題ないです。ホームページを持ってると言う事は、個人情報をさらし
ているわけですから。
フラスターを使うと、種ありができるんですね。結実の確保と言う事は、ジベレリ
ンと変わらないですね。B9のはなしは、聞いたことがあります。
種ありができるとなると「種あり」と表示する必要がありますね。だから、 昨年、
イトーヨーカ堂だったと思いますが、「巨峰は、種ありがうまい」とかコマーシャル
たんですね。(記憶がただしければ)。いままで、そんなコマーシャル見た事がな
かったですよ。
鈴木さんの所では、どうですか。フラスターを使用したものと不使用のものでは、
同じ物ができるのでしょうか?日本曹達のHPでは、影響がないと書いてあります
が、本当にそうなのでしょうか。
採算上の問題と言うのは、どういう事でしょうか?フラスターを使わないと収量が
減るんでしょうか?
我が家では、もともと使っていないので、教えて下さい。
昨年は、冷夏でしたので、巨峰しか作っていない我が家は、かなり大変でした。そ
れでも、糖度19から20度は確保したんですが、フラスターを使っても、作れるもの
でしょうか。


件名: フラスターについて 追伸
>フラスターを使用したものと不使用のものでは、
>同じ物ができるのでしょうか?日本曹達のHPでは、影響がないと書いてあります
>が、本当にそうなのでしょうか。
>採算上の問題と言うのは、どういう事でしょうか?フラスターを使わないと収量が
>減るんでしょうか?
フラスターを適期に使用すると実止まりを向上させる事が出来ます。ただし天候によって
は実が止まりすぎて、摘粒に手がかかる場合があります。また低温に遭ったり、散布時期
がずれると効果が劣ることもあり、おまじないのような面もあります。使用したことによ
る味の違いについては、はっきりした事は分かりませんが、前のメールに書いたように、
強い樹盛を保ちながら実止まりを確保できるので、玉の肥大が良くなります。また穂軸の
伸長を抑えるので、房がぎゅっと詰まったにぎり房になりやすいということです。しかし
ホルモン剤であることに変わりなく、実験上問題がないと言うだけで、ほんとにほんとに
何もないのかどうかは分かりません。採算上の問題と言うのは、贈答品に良い物を出して
しまうため特に残りの物の市場出荷分は、玉張りに劣る事や握り房になりにくい(だらふ
さになりやすい)点で、評価が低く、精算金が少ないと言う事です。

 


件名: RE: フラスターについて 追伸
茨城の・・・です。
お返事ありがとうございました。突っ込んだ質問にまで、お答え頂いて、すいませ
んでした。
ジベレリンを使用しないようになっているということは、フラスターを使用するほ
うが良いものが出来ると言う事ですよね。
茨城では、常陸太田や千代田というところが、観光農園の多い所です。どこでも、
ジベレリン、フラスター当たり前と言う感じですね。ぶどう栽培先進県の長野を見
習っているので、そうなるみたいですが。フラスターにすると、良いものが出来ると
言う話は、耳にしません。
見かけより味で選んで欲しいと思う農家と見かけで判断してしまう市場(消費者)
の意識のくい違いが、もう少し埋まって欲しいですね。
鈴木さんが、フラスターの使用を本意でないと言っているのは、どんな理由からで
すか?見掛けが良くなって、味が変わらないのであれば、使うことを否定する必要は
ないと思いますが、あえて使いたくないというのは?。その辺のこだわりが、メール
を出すきっかけだったんですが。
我が家の場合は、巨峰としては小粒で、房の形もまとまりのない(”だらふさ”と
言うんですか)になっています。何も使っていないので、これが普通なんでしょうけ
ど。輸入ぶどう(レッドグローブ)は、そうですよね。
粒の大きさは、どうしようもないですが、房の形は、花きりの段階で、多少是正で
きるようです。ご存知でしょうけど。
糖度についてですが、ホームページ上で、触れている方は、皆無ですね。糖度より
は、バランスの良さが、評価につながると書いている人もいますが。消費者としては、
知りたい情報だと思います。近所のスーパーでは、「16度 普通。17度 あまい。18
度 とってもあまい」となっています。そちらのほうでは、糖度について、どれくら
いが、普通ですか?
市場では、評価基準に入ってないんでしょうか?甘くても、見かけで、だめってこ
とはないんでしょうけど。
市場は、東京ですか。茨城のスーパーでは、茨城産より、長野、山梨産の巨峰のほ
うが、1kg箱で、100円くらい高く、売ってます。並べ方も、茨城産より目立つ場
所においてあります。そんな状況ですので、東京にでも出そうかと思っていたのです
が、良い考えではなさそうですね。

 


件名: 長野の情勢と我が家
こちらの農協の出荷基準は、糖度十八度以上、房形、玉張り、色、花粉ののりすべてそろっ
て点数で30点(満点です)それぞれがやや劣ると1点ずつ原点、劣ると2点ずつ減点、
房形が悪い場合は、一気に5点減点です。糖度については18度以上のものしか集荷され
ていないはずですが、各農家の良心に任されています。フラスターを使用しないと、房形、
玉張りの点で劣る物が多くなるので、精算にして2割引になってしまいます。それでも使
わないのは、フラスターを使わなくても実止まりを確保できる自信が有る事。フラスター
が高いこと、フラスターがホルモン剤であると言う事。正直、SSの散布回数が一度増え
るのも理由です。もう一つ、うちで、フラスターを使を使わない大きな理由は、粒抜き作
業が大きく増える事がやってられないよと言う理由です。まあ糖度に関しては、10aあた
り東信で1.2t、北信で1.5tくらいに収量制限されているので、基準を守っていれば、ほ
とんど18度以上に仕上がります。後は天候を予想して多少多くつけたり、少なくしたり
します。去年は家の方も前半天候が悪かったので、収量をかなり減らしたので、贈答のお
客さんで、買ってくれた人はいつもにもまして美味しかったと言っていました。ところが
天候と山梨産の味が悪かったせいで、買い控えのお客が多く、去年は散々でした、そこで
我が家の美味しいぶどうをもっと多くの人に食べてもらおうと、ネット通販を冬の間に始
めてみました。今年のお客が増えるかどうかで、今後の経営の方向を見直そうと考えてい
るしだいです。現在巨峰は市場にはだぶつき気味で、3年以上前の価格は今後しばらく考
えられないと思っています。ほかとは違う物、ほかとは違う作り方、他との違いを知って
もらい、消費者に買ってもらわない事には始まりません、お互い頑張りましょう。

 


件名: RE: 長野の情勢と我が家
茨城の・・・です。
長野では、そんなことがあるときいていましたが、やっぱりそうなんですね。背筋
がぞっとしますね。そんなに制限があると農家としても、余裕がうまれてこないん
じゃないでしょうか。商業主義の典型みたいなものですね。
基準が甘いと、確かに市場で不利になるのはよくわかりますが。農家に、お金と手
間をかけさせて、中間の流通業者が利益をとる形になってますね。茨城でも、ジベレ
リンやフラスターを使った場合は、粒抜きを必死でやってます。それを考えれば、や
りたくないのは、人情ですね。
まあ、研究の為に、今年は、長野産の巨峰を選んで買ってみる事にします。
じつは、以前、日本農業賞受賞をシールに書きこんで販売している山梨県のJA
○○の品物を研究の為に買ってみてことがあります。そして、その味に呆れました。
賞を取ってるのにこの程度なんだと思いました。後で調べてみて分かったのですが、
基本的に、日本農業賞と言うのは、農業経営に対する賞であって、農作物の優秀さを
評価するものではないのです。再度、それを堂々と書いている事にも、呆れました。
こんなのがあると巨峰農家全体が迷惑するとおもいます。
昨年は、その同じJAの巨峰が、YAHOOショッピングのお中元ギフトに紹介され
ていて、「ほのかにあまい、巨峰って本当はこんな味だったんだと思える本物の味・
・・」と言うようなコメントが出てました。あんまりヒドイので、クレームをつけた
のですが、「日本農業賞受賞と言うことは問題がない」という返事でした。ほんのり
あまい巨峰はありえないというクレームには、表現を変えて対処してありましたが、
YHOOショッピングと言えどもその程度なんだと、がっかりでした。JAROは、
返事がないので、何をしてくれたのか、分かりません。
ネット販売も、いかにうまく宣伝するかが鍵のようですので、私のように、コスト
かけずに顧客を獲得しようとしても、大してうまくいかないようです。かといって、
コストをかけても、ダメな事は、ままあります。メルマガを使ったプレゼントなん
か、応募が一件も無いし。ホームページを開設しても、知り合い以外からのぶどうの
注文は、1件もないですよ。栗は、5件位かな。
今年は、出来る所からコツコツやろうかと思っています。たまに、うちのホーム
ページをのぞいてみてください。お百姓さんリンクのような、リンク先を増やしてい
ますので、ご利用下さい。
いつも、丁寧な返事ありがとうございます。

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